発酵食品ー漬物編

27.5.15(金曜日)曇り後雨、最高温度24度、最低温度17度

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       厳冬期、ハウスの中で高菜の灰汁抜きをしているところ

農園では、開園以来、漬物を作り続けてきた。
大分県宇佐地方で代々伝えてきたのが、瓜の青漬け(粕漬け)。
昔は酒粕が安く手に入り、何処の家でも漬けられて来た粕漬け、曾おばあちゃんから、おばあちゃんへ、その娘から、その孫達へ。各家庭の秘伝の漬け方があったようだ。私の母などは、何樽も漬けて知人親戚に送っていたものだ。
その手間の架かる事はおびただしい。
当農園では、嫁に伝わり、その息子の嫁が農園で育てた青瓜を漬け込んでいる。
例えば、瓜を半割りにして、丹念にわたを抜き、塩漬けにし樽に漬け込む。
その際に重石をするわけだが、重過ぎると瓜がぺらぺらになり、軽すぎたり、重しがずれると酸味が出てしまったり、塩も多すぎると辛すぎるし、少な過ぎると雑菌が入り込み、腐敗してしまう。
粕に漬ける際は、焼酎・粕・砂糖などをそれこそ秘伝の分量で調合し、隙間が出来ないように均等に漬け込む。正しく職人の技と勘と経験が要求され、リスクと手間の塊りとなる。好きな方は、ご夫婦で取り合いの喧嘩になるそうだ。貴方の方が一切れ多かったなど、他愛のないものだが・・・
私などは滅多に口に出来ない。誕生日に赤飯を炊いた際に、嫁のまた嫁から少しばかり分けてもらう。瓜は私が作っているのだが・・・

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次に大分高菜の古漬け。
表紙の写真がその作業の一工程。
作業手順は、収穫した高菜を天日で干し、塩で揉む。
かなりな重労働となる。
しんなりとしてきたら、樽に巻くように漬け込む。隙間が出来ると重石が傾き、それこそ雑菌が入り込む。表面に塩を振り雑菌の防御を施す。
二週間ほど漬け込むと、第一回目の灰汁抜きを行う(写真)バラダに並べて、干して二回目の漬け込みに入る。

塩が少なすぎて腐敗発酵してしまったこともあり、減塩、減塩とマスメディアに踊らされた消費者が騒いでいるため、それならと塩を控えた結果ではあった。

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子供さんが大好きな
大根の甘酢漬け。

塩・酢・砂糖しか使わない
短時間で浸かるように
細かくカットする。
この漬け方を教えてくれと
よくお客様からせがまれる
が、それは無理と言うもの
量が少な過ぎると、この
味が出せないのです。



この他にも、たくあん漬け・大根や茄子・胡瓜の粕漬けなどがある。
但し、目下の悩みは、野菜の出荷を優先しているため、正確には生産量が確保できないため、多くを望めないこと。
畑を広げたいとは思ってみても、当農園の漬物は、草木堆肥歴3年以上でないと
漬物にもしないため、現在の処、漬物の製造は少ない。
それは、当農園の漬物の考え方が素材重視にあるため、美味しい野菜が沢山採れないと漬物には回せないからです。

ここで少しだけ専門的なお話をしておきます。

味噌・漬物などの純粋な無添加発酵食品は、現在ほとんど市場には出回っていない。何故なら、おそらくは、手間隙がかかり、リスクの塊りであり、技や勘や経験の必要な純粋な発酵食品を消費者が理解していないせいだと思われる。
何よりも問題なのは、安くなければ買わないのも消費者の実情でしょう。
そのため、多くの製造会社はそんなリスクと手間と経験の必要な発酵食品作りを
止めてしまった結果が次のような現実を産んだのではないでしょうか。

「現在市場に出回っているものは、ほとんどが、味噌醤油らしくもの、漬物らしきものであることを消費者の方々は知っているのだろうか?」

「発酵とは!」
発酵とは乳酸菌により野菜に含まれる糖質を分解し、乳酸や酢酸を産出すること。
当然に発酵菌や乳酸菌がその主役です。真の発酵食品は酢酸が増えて酸性となり
又、植物性乳酸菌の働きにより腐敗菌などの悪玉菌を抑えてしまいます。
結果として、発酵食品は雑菌や腐敗菌を抑え、保存料は必要ではないのです。
つまり、発酵食品に塩を使うのはそれらの腐敗菌などの雑菌を抑制するためです。

※糖質の多い野菜ほど、美味しい漬物ができるわけですね。

草木堆肥を作っていると最初はそれらの微生物により、草や葉っぱなどの有機物が
分解されて、甘酸っぱい味噌醤油のような芳しい匂いや香りがしてきます。
但し、草木堆肥は好気性発酵と言い、多くの酸素が必要ですが、漬物などは嫌気性
発酵と言い、その代表格の善玉菌が乳酸菌です。
逆に悪玉菌などの雑菌に犯された堆肥は腐敗発酵をするため、どぶのような強烈な悪臭が漂います。これは水分などが多く、嫌気性発酵=腐敗をしているためです。

難しかったでしょうか?

それでは味噌醤油らしきものや漬物らしきものには、一体どのようにして作られており、何が含まれているのでしょうか?

味噌や漬物の命はその旨みですね。
実は「そのらしきもの」の旨みは化学的に作られているのです。
タンパク質を分解するのに、塩酸を使いますと人工的な旨みの基となるアミノ酸が作れます。それだけでは発酵食品の旨みには到底勝てないため、グリセリンクエン酸サッカリンステビアなどの多糖質の甘味料を加えます。
美味しそうな色を出すためには人工の着色料を使います。
それでは腐りやすいために、今度は様々な保存料を加えます。
漬物(らしきもの)などは、人工的な香料の他にそれらの様々なものを加えて添加物液に浸してできるものなのです。

真の発酵食品には真のアミノ酸が旨みを演出し、乳酸菌が人の腸内をきれいに保ってくれます。
減塩などと称して甘い味噌や漬物らしきものを日常的に食していると、人工的に作られた旨みや甘みは、消化器系の働きを弱め、ミネラルやビタミンの吸収を妨げ、
細胞の再生機能を弱め、キレ安くなり、うつ病などの要因にもなります。
ブルガリアではヨーグルトにより、大量の乳酸菌を日常摂取し続けており、
日本では古来から、発酵食品である味噌醤油や漬物を食する習慣があり、大量の乳酸菌を摂取しておりました。

むかし野菜のもう一つの主要なコンセプトはそこにもあります。
日本人に合った、歴史に根付いた食生活を再度見直していただきたいものですね。